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鉄の腐食速度を測るには?

author : バケット   [ 一般 ]
2020.05.27 Wednesday 11:00 | - | - | 

こんにちは!

マテ3年のバケットです

 

コロナも収束に向かいつつあり、阪大でも院生や学部4年生や1年生は大学内への入校制限が解除されていくようです。

とは言っても私たち2,3年生が大学に入れるようになるのはいつになるかまだ分からない状況です。

 

そんな状況なので今は実験もオンライン授業で受けています。

今回はマテの実験の一つである、金属に電気を流して測定することで金属の腐食速度を測る実験をおおざっぱに紹介します。

 

鉄を中性の水の中に放り込みます。するとちょっとずつ鉄が鉄イオンになって水中に溶けだします。

Fe → Fe ² ⁺ + 2e ⁻の反応が起きますね。

この反応で2e ⁻の電子ができたので今度はその電子を消費しなければ平衡になりません。

なので水中に溶けている酸素が O₂ + 2H₂O → 4e ⁻ + 4 OH ⁻の反応を起こします。

 

この鉄がちょっとずつイオンになって溶けていく(=腐食していく)速さはどのくらいなのかを実験から求めたいと思います。

 

水溶液に鉄でつくった電極と、腐食しにくい種類の金属(イオン化傾向が高くて水の中でイオンにならない金属)でつくった電極を入れてみます。

鉄の電極ではFe → Fe ² ⁺ + 2e ⁻の反応が、

腐食しない電極ではO₂ + 2H₂O → 4e ⁻ + 4 OH ⁻の反応が起きます。

 

中学でやった電池の実験みたいですね

 

この二つの反応が平衡状態のとき、つまり鉄の電極で生成される電子ともう片方の電極で消費される電子が等しくなるような電圧のときの電流を実験で求めます。

 

平衡状態のときの電流をIとすると鉄が腐食する速度は次の式で表せます。

 

(𝐼/2𝐹)×𝑀/𝜌

 

Fはファラデー定数(9.65×10⁴C/mol)です。1molの電子あたりの電気量が何クーロンかです。

Fe → Fe ² ⁺ + 2e ⁻の反応では鉄1molがイオンになるときに2molの電子が電流になって流れています。つまり、2Fの電気量が流れています。

1Aの電流というのは1秒間に1クーロンの電子が流れることなので、実験から求めた電流Iを2Fで割れば鉄が1秒間に何molイオンになったか分かりますね。

Mは鉄のモル質量で56g/mol、ρは鉄の密度です。

(𝐼/2𝐹)×𝑀/𝜌で1秒間に何㎤の鉄がイオンになったか、つまり腐食したかがわかります。

これを実験で使った鉄の電極の表面積で割って単位を/yearに直せば水中で1年間に何ミリ鉄が腐食されるかがわかるというわけです。

 

私が実験から求めた鉄の腐食速度は脱気していないとき(水溶液中に酸素が溶けたままの時)は 1.19 /year、脱気したとき(水溶液中の酸素を窒素で追い出したとき)は0.194 /yearでした。

とても少ないですよね。実際に1年間に何ミリ腐食したかなんてとても定規では測れないですが、今回のように電流をはかることで数時間の実験の授業の間で腐食速度がわかるようです。

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