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[教職]教育方法学(3):死刑制度を考える(中編)

author : A.Mizunoawa   [ 一般 ]
2020.02.04 Tuesday 12:00 | - | - | 

みなさん、ご機嫌いかがお過ごしですか。工学研究科生命先端工学専攻M1のA.Mizunoawaです。

本記事は前回記事の続きですので、未読の場合はこちらからどうぞ。

死刑の存在意義のひとつに強力な抑止力になるという点が挙げられます。しかし、これを理由に死刑に賛成するのであれば他の刑では抑止力としての効果が薄いのかどうかはきちんと確かめておく必要があります。日本で死刑に次ぐ刑は無期懲役刑ですね。無期懲役刑の抑止力について知る前に、まずは無期懲役刑とは何かについて学びます。

動画では、法廷で終身刑を言い渡された海外の10代の若者たちがその場で気絶したり、慟哭したり、暴れまわったりするショッキングな映像が流れます。それを見て思うことは人それぞれでしょう。スライドにも記述してありますが、同情すべきは被害者側だという意見もあれば、終身刑は若者にとっては残酷すぎるという見方もあります。

そんな終身刑とほとんど同じ機能を有する無期終身刑よりも死刑の方が格段に抑止力になりうるという事実は、実はどこにも存在していません。アメリカとカナダの例は国民性もあるため参考程度になりますが、フランスや韓国の例では明らかに死刑が抑止力を持たないことを示していると言えるでしょう。すなわち「死刑を無くすと私たちの生活が脅かされることになるから」という主張で死刑を賛成することはできないのです。

死刑に賛成する理由としてもう一つ挙げられるのは、被害者がそれを望んでいるからというのがあります。身内を殺されたのですから、殺した相手を殺し返したいと思う気持ちも芽生えてしかるべきでしょう。その気持ちに共感する人が多いため、3頁でも述べたように日本国民の大多数は死刑制度に賛成しています。


しかし、ここで考えてほしいのは量刑を規定するのは裁判所であるという点です。中立な判断を下す役割を果たす裁判所の規定では、被害者感情は刑罰の決定には副次的なものだとされています。もしも被害者感情がベースとなって量刑が決まるのであれば、それは私刑と何ら変わりません。

被害者感情を最大限汲み取って判決を決定するにせよ、そもそも死刑判決が被害者遺族の心をもっとも癒していくれるのかという問題もあります。加害者の死刑を望み、実際に死刑の執行を見届けたが、その後もやり場の無い怒りが胸にわだかまり続けるというケースが現実では後を絶たないのです。「そんな気持ちになるくらいなら、私の息子を殺した理由を最後まで語ってもらい、犯人が償う姿を最後まで見届けた方が良かった……」と。

一方、死刑のデメリットはたくさんあります。まずは死刑の在り方が他の刑とは大きく異なる点。日本では死刑以外の刑は加害者の社会復帰を前提とした刑罰となっていますが、死刑だけは社会復帰さえ許さないという考え方を取っています。


次に、死刑の冤罪は取り返しがつかないという意見が挙げられます。このスライドではより詳細な配布資料を用いながら、班の別のメンバーが袴田事件についてかなり深く掘り下げて説明してくれました。

しかし、このデメリットにも反論意見はあります。スライドではデメリットに対する2つの反論意見と、その反論意見に対する反論意見を挙げさせてもらいました。

3つ目のデメリットは法的な問題です。「死刑は国による殺人である」という言葉が示すように、冷静になって考えればこれは存在自体がシビアな刑罰だと思います。初めからあるからその存在を受け入れてしまっているが、そもそもあってはならない刑罰なのではないか、という風に死刑廃止派の人たちは考えているのです。

続きは後編にて紹介します。

それでは、今回はこの辺で。See you again!

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