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己を誇大的に修飾する活動

author : A.Mizunoawa   [ 一般 ]
2019.12.13 Friday 14:30 | - | trackbacks(0) | 

みなさん、ご機嫌いかがお過ごしですか。工学研究科生命先端工学専攻M1のA.Mizunoawaです。

学生の中でもB3(大学3回生), M1(修士1年), D2(博士2年)など最終学年の一つ手前の学年では、基本的には就職活動というものが待っています。近年、経団連の決めたルールによる公式の就活時期は毎年まちまちなのですが、今年は3月1日が正式な解禁日になっていて、それまでの夏〜冬の時期には業界研究をしたり興味のある会社について調べたりするのが普通です。インターンシップという言葉を聞いたことがある高校生の方もいるかもしれませんが、これは興味のある会社のオフィスに行ってちょっと詳しい話を聴いたり模擬的な職業体験をさせてもらったりするというようなイベントのことで、これに参加することで会社の特徴などを効率的に知ることができます。理系の場合、研究室の許可が下りれば2週間程度の長期インターンシップに行くような人もいますが、基本的には1dayインターンシップを2〜5個ほど参加するだけの人が多いのかなと思います。倍率の高いインターンシップや3月1日以降の採用試験などでは、エントリーシート(いわゆるES)という書類の提出・適性検査の受検・面接などを通して参加可否や合否が決定されます(会社によってESの内容や適性検査の有無、面接の回数などは変わります)。

今回はこのエントリーシートについて説明します。定められたいくつかの質問に記述式で解答する形式が多いのですが、典型的な質問は「自己PRをしてください/長所と短所を教えてください」「学生時代、一番力を入れたことについて教えてください/ゼミ・研究室での研究テーマについて説明してください」「志望動機について教えてください/この業界を選んだ理由を教えてください/あなたを採用する当社のメリットは何ですか」「この商品にキャッチコピーを付けてください(広告業界)/理想の教育とは何だと思いますか(教育業界)/若者の自動車離れの原因は何ですか。また、それを食い止めるために自動車業界がすべきことは何だと思いますか(自動車業界)」など様々です。このようなスタンダードな質問なら何をどのように書けば良いのかは就活ガイド等にも情報があるのですが、会社によってはなかなか特徴的な質問があったりもします。

具体例を出してみましょう。以下は、実際に僕が今夏に某社へ提出したESになります。

Q1. お金とは何か。400〜600字で述べよ。

A1. お金とは人間の貢献度を数値化したものであると私は思います。あるサービスや製品に対して購入者がその価格を適正だと感じお金を支払った場合、サービスや製品の提供者はその価格と同じ価値の貢献をその人に対して行ったことになります。このサービスや製品は世間からの需要が高いほど高値で売れますが、これは換言すれば世間への貢献度がきわめて大きいと言うことができます。そういう意味において「意欲的に稼ぐ」というのはことのほか良いことであるのではないかと私は考えています。千円の儲けを出すよりも一万円の儲けを出す方が好ましいのは、自分が10倍の報酬を得ることができたからだという以上に、顧客にとって10倍も大事な需要を満たすことができたから、あるいは10倍もの人数の顧客を満足させることができたからだという風に私は捉えます。「自分は己の利欲のために働いているのだ」と考えるよりも「自分はたくさん社会に対して貢献がしたいのだ」と考える方が、仕事に対して前向きな気持ちで取り組むことができるのではないかと思われますし、そして何より、自分が何かに対してお金を支払う際に自らの生活が誰かしらの貢献によって支えられているということを思い出し他人にも感謝することができるようになると思います。(527)

Q2. 許すとは何か。400〜600字で述べよ。

A2. 許すとは、他者に慈しみを与えられることができるようになるために自分が少しずつ成長していくための通過儀礼であると私は考えます。イエス・キリストは「汝の隣人を愛せよ」と言いましたが、もっとも自分との間に利害関係が発生しやすく争いごとが起こりやすい相手さえをも愛することができたのならば貴方は誰をも愛せるのだという意味がこの言葉には含意されているのだろうと思います。そしてこれはすなわち「情けは人の為ならず」と本質的には同じ意味になります。何故なら万人を愛せる者は人から傷付けられない強さを獲得するからです。たとえ誰かの悪意が自分に降り注いだとしても、悪意ごと相手を包み込むような愛情を与えることができるのならば自分が傷付くことはありません。理屈ではわかっていても実際にそのように行動することはとても難しいことなのですが、愛することの前段階には許すことがあります。人を愛せるようになるためにはまず人を許せるようにならなければいけません。たとえどんなに許しがたい事実があったとしても、ただ無償の慈しみを相手に与えるために(For “give”)自分の心の形を変えられる者だけが、自分を次のステップへと昇華させていくことができるのだろうと思います。(509)

採点基準がわからない以上、あまり些細な気を遣わずにただ自分が書きたいように書いてみたりしたのですが、まあこんな文章でも選考は通ります。実際のところはわかりませんが、内容のベクトルを見ているというよりは、思想の強度、ベクトルの絶対値を見ているんじゃないかなと個人的には思っています。とにかく、付け焼刃のテクニックに乗せられず自分の頭で考え尽くすことが結局は大事なのでしょう。

さて、今回はESについてでした。いずれ気が向いたら今度は夏にインターンシップに行った際のエピソードを記事にしたいと思います。

それでは、今回はこの辺で。See you again!

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