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熱力学(2):臨界点と臨界圧縮因子

author : A.Mizunoawa   [ 一般 ]
2018.09.19 Wednesday 11:00 | - | trackbacks(0) | 

みなさん、ご機嫌いかがお過ごしですか。応化4回生のA.Mizunoawaです。今回は1年以上前の記事「熱力学(1):ファンデルワールスの状態方程式」の続きの記事を書いてみました。(1)とナンバリングしていただけあって、続きの話は一応考えていたんですよね……。本当に長い間、放置してしまっていましたが。

物質の三態といえば、何でしょうか。もちろん、固相、液相、気相(固体、液体、気体)の3つです。液相と固相が平衡で共存する温度は融点と呼ばれ、液相と気相が共存する温度は沸点と呼ばれます。すると、固相、液相、気相が全て共存するような温度のことを何と言うでしょう? 答えは、三重点です。三重点では、温度のみならず圧力も物質固有の定まった値を取ります(難しい説明をすれば、ギブズの相律における自由度が0だから)。任意の圧力と温度でその物質がどのような状態を取るかを示した図を相図と言います。相図を参照すると、三重点は液相が存在することができる最低圧力・最低温度であることが明らかです。ところで、一般的な単体物質の相図の細部にまで注目してみると、液相と気相の境界線が途中で途切れているのがわかります。途切れているというのは、その点を超えると液相と気相の区別がつかなくなるということを意味しています。その状態を超臨界流体と呼び、二相の区別が無くなる瞬間の点を臨界点と呼びます。

臨界点での温度、圧力、モル体積をそれぞれTc¸ pc, Vmcとしましょう。これらをまとめて臨界定数と呼びます。ここで、「臨界点においてファンデルワールスの式はVmcについて1階微分・2階微分すると0になる」という事実を用いると、この臨界定数を計算することができます(以下の計算は高校生の知識で充分に実行が可能ですので、是非挑戦してみてください)。

dpc/dVmc = −RTc/(Vmc−b)2 + 2a/Vmc3 = 0 ……

dpc2/dVmc2 = 2RTc/(Vmc−b)3 − 6a/Vmc4 = 0 ……

2×  (Vmc−b) ×△茲蝓

4a/Vmc = 6a(Vmc−b)/Vmc4 これを解いてVmc = 3b

これを,紡綟してRTc/4b2 = 2a/27b3 これを解いてTc = 8a/27Rb

pc = RTc/(Vmc−b) − a/Vmc2 これを計算してpc = a/27b2

このようにして、Tc¸ pc, Vmcが計算されます。

さて、ここで少し話は変わるのですが、どんな気体に対しても圧縮因子Zというものが定義されています。これは完全気体のモル体積に対する実在気体のモル体積の比のことで、式で書けばVm0 Z = Vm となります(Vm0が完全気体のモル体積を表す)。簡単に言えば、Zはどれだけ完全気体に近いかという指標で、Zが1に近いほど完全気体に近いということを表します。

理想気体についてはpVm0 = RTが厳密に成り立ちますから(それが厳密に成り立つ気体を理想気体と呼ぶ)、先ほどのZの定義式を代入してpVm = RTZと変形できます。

この式は当然ながら臨界点においても成り立つはずなので、pcVmc = RTcZcが成立します(Zcは臨界点における圧縮因子、すなわち臨界圧縮因子)。先の計算で求めた臨界定数を代入してZcを計算すると、Zc = 3/8になります。つまり、臨界圧縮因子は、その気体の種類によらず、必ず一定値3/8を取るということがわかりました。──定数でも、3/8というのがちょっと変わっていて面白い感じがしますね。

それでは、今回はこの辺で。See you again!

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