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分析科学&分析化学実験(1):光の波長とエネルギー

author : A.Mizunoawa   [ 一般 ]
2017.08.12 Saturday 10:00 | - | trackbacks(0) | 

みなさん、ご機嫌いかがお過ごしですか。応化3回生のA.Mizunoawaです。

つい先日、今セメスター最後の期末試験が終わって無事に夏休みを迎えることができました。最後の試験が台風の影響で急遽、次の日に延期になり、スケジュール変更を余儀なくされて大変だったのですが、なんとか試験そのものは受けることができました。……まあ、試験自体の手応えが良かったわけでは決してないのですが。

さて、今回のタイトルではカテゴリを「分析科学&分析化学実験」と二つの科目の合体にしていますが、これには理由があります。化学には物質の詳細を知るための分析法がいくつもあるのですが、そのような方法を実行するための装置の仕組みを座学として勉強するのが分析科学という授業であり、実際に装置を使ってみるのが分析化学実験と呼ばれる実習になります。2017年現在、これらはどちらも好札(3回生前期)の受講科目になります。ちなみに、分析科学は「科学」の表記で分析化学実験は「化学」の表記なのは、分析科学は物理や生物コースのひとも多く受講するような内容である一方、実験の方は化学コースのみが受講するものだからだと思われます(∵物理、化学、生物、数学∈科学)。

それでは具体的に分析科学では何を学んでいるのか、ですが、それを説明する前にまずは前提知識として光の波長とエネルギーの関係について復習しておきましょう。

光の正体は波なので光には波長があり、光はエネルギーの形態の一つなのでジュールとして数値化することができます。波長が小さくなればなるほどエネルギーは大きくなることは高校生のみなさんもご存知の方が多いでしょう。もしも実感が湧かないひとがいれば、このように考えてみてください。電波と呼ばれるものは、波長が長いもので数キロメートル、短いものでも数ミリメートル程度。その波長の大きさごとにAMラジオ・FMラジオ・テレビ放送・携帯電話・電子レンジ・衛星放送などに使い分けされていて、それらの電波は我々の周りを常に飛び交っている。それらは我々の身体に当たっても健康に被害が及ぶことは無いので、つまりエネルギーとしては決して大きいものではない。380nm~780nmは可視光と呼ばれ、人間が色として認識できる波長領域で、それよりも少し波長が大きいものを赤外線(=IR)、少し小さいものを紫外線(=UV)と呼ぶ。赤外線はこたつの光であるので人体に影響は無いものだが、紫外線は「太陽光からの紫外線がメラニンを生成させ……」と言われるように、肌に悪影響を及ぼす(注:メラニンそのものが黒いため結果としてしみや日焼けになるというだけで、メラニン自体が悪い物質なのではなく、メラニンの生成は一種の防衛機構です)。つまり赤外線よりも紫外線の方が強い──換言すれば波長が小さければ小さいほどエネルギーとしては大きくなる。さらに波長が0.01nm~10nmほどまで小さい光はX線と呼ばれ、レントゲンを撮るときに使われている。我々の身体を司っている骨と歯以外の物質は大概貫通するためX線でレントゲン写真が撮影できるわけだが、身体を貫通しているということはエネルギーが高く健康被害をもたらすため、レントゲンはそう何度も受けていいものではなく年間に受けられる回数は線量限度という形で規定されている。X線よりもさらに波長が小さいものはガンマ線と呼ばれ、これはいわゆる放射線の一種であり、原子力発電事故等のニュースで聞かれるように大変危険なものである。つまり、エネルギーとしてはとても高い。

このように、光の波長ごとにエネルギーは異なるため(エネルギーEはプランク定数をh、光の速度をc、波長をλとしてE=hc/λと表されます)、色々なエネルギーの光が存在すると言えるわけですが、このエネルギーの大きさを利用して分子の構造や質量を分析する方法を電磁波分析と言います。電磁波分析にはいくつかの種類があり、分子に電波を当てるものは核磁気共鳴分析法(通称「NMR」)、赤外線を照射するものは赤外吸収分析法(通称「IR」)、可視光領域付近の光を用いるものは吸光(&蛍光)光度分析法(通称「吸光」。そのため「今日の実験は吸光だね」と誰かが言うと「えっ、休講? やったぜ!」と一瞬だけぬか喜びしてしまうという悲しい事故が起こる)、そしてX線を使用するものが蛍光X線分析法(通称「X線」)と呼ばれています。

次回以降の記事では、これらNMR・IR・吸光分析・X線分析についてを紹介していこうと思います(途中で別のカテゴリの記事を挟む可能性はありますが……)。それが終われば電磁波分析以外の分析法として質量分析法やクロマトグラフィーも説明できればなと思っています。

それでは、今回はこの辺で。See you again!

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