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熱力学(1):ファンデルワールスの状態方程式

author : A.Mizunoawa   [ 一般 ]
2017.07.24 Monday 23:00 | - | trackbacks(0) | 

みなさん、ご機嫌いかがお過ごしですか。応化3回生のA.Mizunoawaです。

突然ですが「高校で学習する内容は全てが真実とは限らない」と言われたら、あなたはどう思いますか。そんなことあるわけがない? そうでしょうか。たとえば振り子の周期の公式は、物理を履修している方ならT=2π(l/g)1/2であると記憶していることかと思いますが、これは厳密に言えば本当は少し違ったりします。正しくは

になるのですが、このような「厳密に言えば正しくない」ことが高校の学習内容には意外とあります(θを微小角に近似することでT=2π(l/g)1/2になるので、この公式が全くの嘘というわけではありません。あくまで「厳密な正解ではない」という話です。きちんとした教科書には「θは微小角とする」と注釈が付いているはずです)。その一例として、今日は熱力学方程式PV=nRTについて見ていこうと思います。

熱力学状態方程式はp=nRT/Vであることは高校でも学習すると思いますが、これはあくまで理想気体についてのみ成立する式です。実在気体でも成立するより厳密な式は

であり、これは1[mol]あたりの体積をVmとすれば、

と書くことができます。この式はファンデルワールスの状態方程式と呼ばれており、aとbはファンデルワールス係数と呼ばれる気体ごとに特有の温度に依存しないパラメータです。

aとbはそれぞれ「ファンデルワールス力」および「排除体積効果」に由来しています。つまり、理想気体では分子を体積の無い点だと単純化して考えていたのに対して、実在気体における分子は理想気体と異なり「厳密に言えば」大きさが存在するため、動ける範囲がVではなくてそれよりもいくらか小さい値になります。これをV−nbとしています。また、実在気体には「厳密に言えば」理想気体では考えてなかったファンデルワールス力(=分子間力)が働くので、分子の衝突の結果である圧力はいくらか引力により減少することが見込まれます。その値は分子のモル濃度の2乗に比例することが知られているので、a(n/V)2だけ引き算をするというわけです。

空気抵抗は実在するのに高校力学がそれを無視しているように、何事を考えるにしてもまずは単純化したモデルにおける場合を理解しないことには先へ進めません。高校の理科というのは総じてそういった単純な場合の議論が多いのだと、大学に入ってから少しずつ気が付き始めました。(大阪大学に限らず)将来大学に入って専門に進んだ際、高校の勉強からやり直さなくてはならないということがないように、高校生のみなさんは一つひとつ着実な理解を伴いながら自分の勉強を進めていってください。

それでは、今回はこの辺で。See you again!

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