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数学解析(3):三角関数の親戚、双曲線関数

author : A.Mizunoawa   [ 一般 ]
2017.07.06 Thursday 19:00 | - | trackbacks(0) | 

みなさん、ご機嫌いかがお過ごしですか。応化3回生のA.Mizunoawaです。

7月ですね。早いもので2017年ももう半年が経ちました。蒸し暑い日が続いていますが、高校生のみなさんは暑さに負けず頑張って勉強しましょう。僕も今月末に期末試験があるので、そろそろ本気で勉強していこうと思います(大学の試験は分量的に、ひと月前くらいから準備しないと厳しいです)。

さて、今回の内容ですが、前回と同じくオイラーの公式が活躍するような話題を取り上げたいと思います。テーマはずばり、双曲線関数。高校生にはほとんど馴染みの無い関数だと思います。僕も大学に入ってから知ったのですが、この関数、なかなか面白い性質を備えていたります。

突然ですが、次の式をご覧ください。

sinh(α±β)=sinhαcoshβ±coshαsinhβ

cosh(α±β)=coshαcoshβ∓sinhαsinhβ

tanh(α+β)=(tanhα+tanhβ)/ (1+tanhαtanhβ)

「なんだ、単なる三角関数の加法定理じゃないか」そう思ったあなたは、残念! 不正解です。よーく見てください。sinやcosの後ろにhが付いていませんか? しかも、tanhの式はよく知るtanの式とは符号が若干違っています。

これらのsinhx, coshx, tanhxを合わせて双曲線関数と呼びます。双曲線関数は三角関数と対応していて、それぞれsin,cos,tanと似たような性質を示します。

(注釈:この段落は紙とペンで作図をしながら読むことを推奨します→)今、sinとcosの定義を「原点と(1,0)および単位円上の点Aによってできる扇形((1,0)と点Aを結ぶ線のみ弧を用いて、残りの各点は直線で結ぶ)の面積がθ/2であるとき、点Aを(cosθ,sinθ)とする」であるとしましょう。このとき、単位円の方程式はx2+y2=1ですが、これをx2−y2=1に置き換えた場合がそのまま双曲線関数の定義になります。すなわち「原点と(1,0)および単位円上の点A’によってできる図形((1,0)と点Aを結ぶ線のみ双曲線を用いて、残りの各点は直線で結ぶ)の面積がθ/2であるとき、点A’を(coshθ,sinhθ)とする」ということです。

便宜上sinhθ, coshθと書きましたが、双曲線関数は角度には対応していませんので、通常はsinhx, coshxと書きます。読み方はそれぞれハイパボリック・サイン(サイン・ハイパボリック)とハイパボリック・コサイン(コサイン・ハイパボリック)です。面倒臭い場合はシャインだとかコッシュだとか略したりもするそうです(でも、なんだか気恥ずかしいので僕にはそんな風に略す勇気などありませんが……)。

先ほどの定義をわかりやすく書き換えてやることで(計算は省略)、双曲線関数はそれぞれ

sinhx=(ex−e−x)/2……(式1)

coshx=(ex+e−x)/2……(式2)

tanhx=sinhx/coshx=(ex−e−x)/ (ex+e−x)……(式3)

というような式で表すことが可能になります。なお、これらの(式1)〜(式3)を用いて少し計算してやれば簡単にわかることですが、sin2x+cos2x=1のsinとcosをハイパボリックに変えた式は一般に成り立ちません(その代わりにcosh2x−sinh2x=1が常に成立します。x2+y2=1からsin2x+cos2x=1が来ていることを考えればこれは自明でしょう)。

さて、それではこの式と三角関数を比較してみることにしましょう。そのためには「sinx, cosxおよびtanxを指数のみで表す」必要がありますが、それはこれまで説明してきたオイラーの公式を用いれば容易です。解答を以下に示しますので、すぐに答えを見る前に自分で答えを出すことに挑戦してみてください。

[導出]

オイラーの式より

eix=cosx+isinx……(式4)

(式4)のxを−xに置き換えて

e−ix=cosx−isinx……(式5)

(式4)−(式5)を2で割って

sinx=(eix−e−ix)/2i……(式1’)

(式4)+(式5)を2で割って

cosx=(eix+e−ix)/2……(式2’)

(式1’) (式2’)より、

tanx=sinx/cosx=(eix−e−ix)/ (eix+e−ix)……(式3’)   以上で導出終わり。

さて、(式1) (式2) (式3)と(式1’) (式2’) (式3’)を比べてみると……虚数iの有無以外は全て同じ形を取っており、非常によく似た形だと言うことができます。これもまた、三角関数と双曲線関数が対応していると言われる所以のひとつになります。

ただし、ここまで三角関数と双曲線関数の代数的な類似性について議論してきたわけですが、グラフに関して言えば両者は全く似ていません。それどころかsinhxやcoshxはsinやcosのような周期性さえ持ちません(詳しい図はこちらを参照してください)。

ちなみにこれは余談になりますが、(式2)の右辺はいわゆるカテナリーと呼ばれる関数です。日本語では懸垂線で、2本の電柱の間に垂れる電線の方程式になります。数学靴龍飢塀颪任癲∪冓でグラフの曲線部の長さを求めてみる問題などで出てくるのではないでしょうか? カテナリーには二回微分をすればもとの関数に戻るという性質があり、その手の問題では計算が単純になるため好都合ですからね。

似ているのに、似ていない──双曲線関数は不思議な関数ですね。興味を持たれた方は、自分で一度調べてみてください。

それでは、今回はこの辺で。See you again!

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