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有機工業化学(1):地中に眠るお宝、石油

author : A.Mizunoawa   [ 一般 ]
2017.02.02 Thursday 13:00 | - | trackbacks(0) | 

みなさん、ご機嫌いかがお過ごしですか。ご無沙汰しています。応化2回生のA.Mizunoawaです。

今回は、有機工業化学という授業の内容を紹介します。有機工業化学を有り体に言えば「石油についての学問」なのですが、みなさんは石油と言われてどんなことをイメージしますか? もうすぐ枯渇しそうだとか(厳密に言えばこれは嘘なのですが……)、二酸化炭素が排出されて環境に良くないだとか、昨今はあまり良い印象を持たれていない石油ですが、そもそも石油は私たちの生活に無くてはならないものであり、石油無しには人間社会・人間生活などは到底語れない──それくらい重要なものなのです。

ここに掘り出した原油があるとしましょう。原油の成分は実に雑多です。炭素数が1のメタンもあれば20を超えるようなアルカンもありますし、一口にアルカンと言っても直鎖上のものと枝分かれのあるものに分かれます。また、アルケンやアルキンなどの不飽和炭化水素もあります。

掘り出した原油はまず、常圧蒸留によって炭素数ごとに分類されます。炭素数1~4のものは気体状なのでガス留分と呼ばれます。炭素数5以上は液体になりますが、炭素数5~12をガソリン留分、9~18を灯油留分、14~23を軽油留分と呼び、蒸留で残された油を残渣油と言います。ガソリン留分はさらに細かく軽質ナフサと重質ナフサに分類されます。

ガス留分はそのまま「LPG(Liquid petroleum gas, 液化石油ガス)」という名前でカセットコンロ用のガスなどに用いられています。軽質ナフサや重質ナフサは「ナフサ」と呼ばれる石油化学基礎原料を作るための材料になったり、「ガソリン」になって車を走らせるのに使われたりします。灯油留分は用途によって名称が変わり、飛行機用の燃料は「ジェット燃料」、ストーブの燃料は「灯油」と呼ばれます(これらは実は同じものなんですね!)。軽油留分はいわゆる「軽油」のことでディーゼルエンジン搭載の車や大型船の燃料になります。

残渣油は減圧蒸留を経て一部が「重油」になり船を動かしたり発電したりするために用いられ、減圧蒸留でもなお使い道のない残り滓は減圧残渣油と呼ばれます。しかし、この減圧残渣油が全く使えないのかというとそうではありません。これも脱れきし、脱れき油の抽出・脱ろうを行ってやることで「潤滑油」や「ワックス」になり、機械の歯車に差したり髪型を整えたりするのに使用されます。

では、減圧残渣油において脱れきしても溶けきらなかったものに関してはどうなるのでしょう。石油を絞りに絞り尽くして出た残り滓──流石にこれ以上の用途は無いのでは? いえいえ。何にも溶けないからこそ、これは「アスファルト」として道路を舗装するのに使われています。

上記の「かぎ括弧」で括ってある製品がいわゆる石油製品と言われるものです。石油という液体は、余すところなく全部が価値ある素材として用いられるまさに最高の資源というわけなのですね。

それでは、今回はこの辺で。See you again!

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