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量子科学(4):量子力学はSF的サイエンス

author : A.Mizunoawa   [ 一般 ]
2017.01.09 Monday 16:00 | - | trackbacks(0) | 

新年明けましておめでとうございます。応化2回生のA.Mizunoawaです。

高3生はいよいよセンター試験まであと数日ですね。結果はどうあれ悔いの残らないよう、やれるだけのことをやって本番に挑んでください。でも、体調管理は怠らずに。いくら学力をつけたところで当日風邪をひいては全く意味がありませんからね。

さて、ということで新年早々でなんですが前回の記事の続きになります。未読の方はこちらから読み進めてください。

ここまでの話は全てミクロの世界の話なので、実感が湧きづらく「正しいのか間違っているのか」さえはっきりしないように感じられるかもしれません。しかし、もしこれがマクロの世界にまで拡張されたのなら明らかにおかしいのではないだろうか──そう考えたコペンハーゲン解釈反対論者がシュレディンガーであり、その主張がSF・オカルト界隈で激烈な知名度を誇る「シュレディンガーの猫のパラドックス」という思考実験です。

(ちなみにこれは完全な余談ですが、「量子力学といえばシュレディンガーの猫」という連想から、我らが電子の歌姫は「ねこみみは量子力学♪」と歌っているのだと個人的には思っています。その後の「宇宙は11次元」うんぬんというフレーズも、古典力学と量子力学を同じ枠組みによって記述しようと試みる「超弦理論」に関係するワードですね。……いやー、本当、ものすごく余談ですが)

まず、放射性ラジウムを箱に入れます。放射性測定器を青酸ガス発生機に接続し、猫と一緒に箱に入れて蓋をします。ラジウムが一定時間の間にアルファ崩壊して粒子を放出する可能性が50%だとすれば、青酸ガスが発生して猫が死亡する可能性もまた50%であり、反対に猫が生きたままである可能性も50%になります(注釈:繰り返しますがこれは「思考実験」であり、実際に行ったというわけではありませんのでご安心ください)。

ミクロな世界にあるラジウムという量子に対してコペンハーゲン解釈を適用するならば、マクロな世界にある猫もまたコペンハーゲン解釈的に考えることになるので、観測する前の箱の中身は生きている猫という可能性と死んでいる猫という可能性が半分ずつ混在していることになります。そして、箱を開けて中身を確認した瞬間、その可能性がいずれか一方に収束し、そこで初めて猫の生死が確定することになります。

常識的に考えれば、箱の中身を確認する前から猫は死んでいれば死んでいるのだろうし、生きていれば生きているのだろうと考えられますから、コペンハーゲン解釈は不自然ということになる、というわけです。猫という物体は古典力学のルールに則ったマクロな物体のはずですから「量子力学に固有の考え方であるはずのコペンハーゲン解釈を猫に適用する」のは間違っていることになるんですね。

このように、アインシュタインやシュレディンガー(シュレディンガーは量子力学の基礎である「シュレディンガー方程式」を考え出したひとでもあります)といった重鎮でさえ猛反発したコペンハーゲン解釈は、正しい考え方なのでしょうか? ……実は、その答えはいまだに良くわかっていません。この考え方がもっとも有力な説ではありますが、完全に正しいと断定することはできていないのが実情のようです。

ちなみに、SF的には(もしかしたらフィクションではなく現実なのかもしれませんが!)猫の生死が収束したのは他でもない人間の意識が観測したからだとする「意思説」や、人間もまたコペンハーゲン解釈の内にあって「生きた猫を観測する人間の可能性」と「死んだ猫を観測する人間の可能性」が重ね合わせの状態にあるのだとする「エヴェレット多世界解釈(厳密に言えばSFとして扱いやすいのは多世界というより平行世界ではありますが)」などに話が広がっていきます。タイムトラベル系の作品ではお馴染みの世界観ですね。

それでは、今回はこの辺で。See you again!

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