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量子科学(2):粒子性と波動性

author : A.Mizunoawa   [ 一般 ]
2016.10.18 Tuesday 14:00 | - | trackbacks(0) | 

みなさん、ご機嫌いかがお過ごしですか。応化2回生のA.Mizunoawaです。

先日、食堂でカレーを注文したときの話なのですが「辛いものと抱き合わせで甘いものも何か食べたいなー」ということでカニクリームコロッケを追加で購入したんですね。で、「DonDonのカレーはやっぱり辛ぇー」などとつまらないことを考えながら食事を進めていき、そろそろ口直しという段階でそのコロッケを口にしたんです。そしたら、なんと中からカレーが溢れだしてきたんですね。「あれ?」と思ってすぐにレシートを確認しました。そしてわかったんです。僕が購入した商品は、カニクリームコロッケじゃなくてカレークリームコロッケなる代物だったということに……!

……はい、というわけで(?)前回の続きになります。量子力学についてのお話ですね。前回の記事を未読の方はそちらを先にお読みください。

量子が粒子性と波動性の二重の性質を持つ、ということは、光が粒子であり波動でもあるという事実から演繹して考えられました。まず初めに、ホイヘンスの原理でお馴染みのホイヘンスによって光に波動性があることが提唱されましたが、それだけでは光の反射や屈折を充分に説明することができませんでした。そこでニュートン力学でお馴染みのニュートンが光の粒子性を提唱し、説明できなかったそれらの事象の説明に成功します。その後、ヤングの実験でお馴染みのヤングらによってホイヘンスの提唱した光の波動性が証明され、さらに(こちらは高校過程ではお馴染みではないかもしれませんが、大学に入ってすぐに学習するであろう)マクスウェルの方程式によって光が電磁波の電波であることが判明します。そして相対性理論でお馴染みのアインシュタインが光電効果を「光は粒子性を持つ」ことを前提に解釈したことで、光が粒子性と波動性の二重の性質を持つという考え方が受け入れられるようになっていきました。

(ちなみに余談ですが、アインシュタインがノーベル賞を受賞したのはこの光電効果の解釈に対してであって、相対性理論に対してではありません。ちょっと意外ですね)

ところで前回、電子も量子のひとつである、と言いました。ということは電子もまた粒子性と波動性の二重の性質を持つということになります。そして電子がそれらの性質を持っていることを示す証拠として「二重スリット実験」というものがあります。これは「世界でもっとも美しい実験」としてとある科学雑誌で選定されており、天才物理学者のファインマンをして「量子力学の神髄だ」と言わしめた驚異の実験です。

実験内容を簡潔に説明すれば、前述の「ヤングの実験」で光ではなく電子を使ったバージョンになります。まず、二本のスリットを用意します。スリットに向かってたくさんの球を投げ、それらを通過させるとしましょう。通過した球は反対側の壁に当たり、当たった点は記録されることとします。

スリットと球が、古典力学が適用される程度の大きさの場合(ピンポン球を、それが通る程度の小さな穴に通す場合など)は反対側の壁に記録される点の集まりはスリットと同じ二本の平行線になるはずです。

一方、同じスリットに波が通過した場合を考えると、ヤングの実験の結果として知られているように干渉縞が生じることになります。

それでは、スリットと球が、量子力学が適用される程度の大きさの場合、つまり球を電子として実験を行います。これが二重スリット実験です。

もちろん電子は粒子ですから、干渉されるのは二本の平行線……になるはずなのですが、着弾点の集合によって実際に描かれる図形は、なんと干渉縞です。つまり、粒子が波動性を持っているということになってしまいます。

しかし、勘の良いひとはここでこう考えるかもしれません。大量のビーズを集めるとそれらの集合が液体のように振る舞うように、電子がたくさん集まることで波動の性質を表しているのではないか、と。その仮定の是非を確認するためには、たくさんの電子を同時にスリットに撃ち込むのではなくて、1つずつ撃ち込めば良いと考えられます。つまり、電子を1つずつ撃ち込むことでその電子は他の電子と「干渉」することはなく、したがって「干渉」縞が生じることもないだろう、という理屈です。

そして、実際にその仮定に基づいて実験がなされました。1つずつ、複数回にわたって電子がスリットを通過し、できたのはスリットと同じ二本の平行線……ではなく、なんと、これもまた干渉縞だったのです──。

そう、この謎めいた実験結果こそが、量子力学がまっこと奇妙奇天烈で、それでいて面白いと言われる理由になります。

話はまだまだ続きますので、続きは次々回(次回は別のことを書く予定です)にさせていただきます。

それでは、今回はこの辺で。See you again!

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